2015年8月29日土曜日

人生スイッチ どこもかしこも!真っ赤な血の海なのに、みたあと爽やかで心地よい

2014年、アルゼンチン=スペイン共作
監督・脚本は、 ダミアン・ジフロン(アルゼンチン)
原題Relatos salvajes(ワイルドデイズ)

チラシをみたとき、この人物たちがどうつながるのかなと、疑問が湧いた。
どの人物も色濃いキャラクターで、脇に回る感じではなかったからだ。
その疑問は観たことによって、容易に解明された。
これはいろいろなところで、すでに紹介済みだからいいかな。
構成が6つのショートストーリーを同じテーマでつなぐ、いわゆるオムニバスだったからである。

いやあ、よーく笑かしてもらったね。
じゃっかん引き気味で笑ってたところもなくはないが。

血をみない回はあまり、ない。
だが、出てこなくても、血を否が応でも想像さざるを得ない。
さらに音楽がその緊迫感を煽る。
サイコの音楽ってこんなんだったかも。 



いちばん笑ったのは、3話目のラストかなあ。

好きなのは4話目と6話目。
2話目もいい。
ほんとうにそうしたいと思ったとき、法律は無力だという言葉がよぎる。
またそれが、自分のためじゃないっていうのが、すごい。
この話がもっとも様々なことを考えさせた。

4話目。
これも、法律は無力といっている。
ある段階を越えてしまうと、ひとはとんでもない方向へ走るでしょ。
走れなくても、走りたくなっちゃうでしょ。
リカルド・ダリン(ボンビーノ)の気持ち、よくわかる。
そういう技術があったからこそ、ほかの人々の気持ちまでも結果的に代弁したんだなあ。
拍手喝采。


 
6話目のラスト。
ううん、男ってそうだよね。
女ってそうなんだよね。
このふたり、うまくいくのかなあ。。。。。いくといいな。

ちいさな小屋でみたけど、満席だった。
しかも一日5回上映。
たしか、さいしょ調べたときは、一日2回だったはず。
じわじわ票を伸ばしてる。

そうそう、いつも、映画館では笑ったりしていても、ほかのお客さん、しいんとしていて、肩身が狭かったんだけど、今回はとてもノリがよくて、浮かずにすんだ!
隣に座ったひとは、誰よりも早く笑ってたし。
いつも、こんなかんじで映画が観れたら、いいなあ。

ワイルドデイズって、野生の日々か。
人生スイッチって、どうなの?
なんとなし、観たあとは軽い違和感があるタイトル。
「麗しのサブリナ」みたいな素敵なタイトル付けられる映画人は絶滅したようだ。



2015年8月19日水曜日

新ニッポンの話芸 2015,8,18

成城から下北沢に移って、初めての、新ニッポンの話芸。

ぬっはっは~~

やあっぱ。おもしろい~~~。
開口一番、こしら「看板のピン」
つぎが、馬るこ「千両みかん」かなあ?あんなに違ってると、タイトルもあやうい。

こしら、枕で、ひざ下が野良仕事でパンパンになってブツブツがたくさんあるという。
見たい人は中入りのとき、見せますが、100円もらいます、と、商人ぶりを発揮。
もしかしたら、2年ぶりくらいかなあ、聴いたの。
うまくなってる。あいかわらず、基本姿勢がなってないけど。
たぶん、談志が生きてたら、可愛がってただろうなあ。。。

中入り後、つれがなかなか戻らない。
もうブザーが鳴ったというのに。
やきもきしていると、列の後ろからふたりめのところで、ゆっくりこちらへ向かうのを発見。
椅子に座ってのたまうには、こしらのブツブツを100円払ってみたという。
物好きですね、と、いおうとしたら、斜め後ろの男の人も、同じことをお連れさんに話している。 
わたしは、こしら作のお茶を買ったんだが、真後ろのひとも、買ったと話している。
妙にノリのいい2列である。

そんなこんなで、トリの三遊亭萬橘。
萬橘は季節感たっぷりに佃祭。 
ポッドキャストで幸せ太りといわれていたが、ぜんぜん太っていなかった。むしろ、ちょっと痩せて、顔色がいつもより白っぽい。
トークの折に、お腹の調子がいまひとつ、と、いう話になり、そういやあ、そんな感じの顔色である。
夏バテかな。
こないだは、声が出なくなったというし、気がかりだ。
 
だが、笑いは爆発的に取ってしまう。
萬橘与太郎は最高だねえ。
長屋の月番が与太郎というところで、ちらっと与太郎登場。
今回の噺は、江戸の景色をしみじみと感じさせてくれた。
つまり、アイスクリームや、カレーが、まったく混じっていないのである。カニもいない!カニがいないのは、ちょっと残念!!

また近いうちに聴きたいな。
さいきん、あんまり両国寄席でトリをやってくれない。
もっといっぱい、やってほしいなあ。

 

歌麿をめぐる五人の女 本家溝口版。田中絹代の壮絶なる演技の力

神保町シアターにて、鑑賞。
いやもう、実に素晴らしいの一語に尽きる!!
白黒画面というのに、衣裳の豪華絢爛さ、センスの良さが、充分に堪能できる。
そして、戦後の開放感。
よくぞまあ、これだけの衣装を!
映画人の情熱を存分に味わう。熱さがおいしい♪

1946(昭和21)年、溝口健二監督作品。
坂東簑助、田中絹代。


五人というのは、田中絹代のおきた、お蘭、雪枝、誰が袖太夫、あとひとりは、弟子の竹麿と夫婦になるおしん、で、いいのかな。



冒頭、花魁道中。
そうか、こんな感じだったのか。
なんというか、戦後の再現にもかかわらず、リアルである。


版元、水茶屋、売れっ子女郎、お茶っぴき、一目でわかるのは、溝口監督のこだわりが随所にあるからなんだろうか。


歌麿とおきたの、ぐちゃぐちゃと素直でない、只ならぬ雰囲気は、緊迫感がある。
ラスト近くの田中絹代の攻めの演技に対して、抑えざるをえない歌麿の簑助の苦悩の混ざる演技。
このブログを始めてからまだ一度も使っていない、よく演技を褒めるいい方をしてみたい。

鬼気迫る演技を観させていただいた!

ほんとうに、ひさしぶり。

もう、この言い回しを使う機会はないだろうと。

こんどは新しい映画で言ってみたいな、鬼気迫る演技、と。
いわしてちょうだい、園子温。

で、もどろう。
溝口と田中絹代の付き合い方は、このような、意地の張り合いだったのだろうか。
それだと、本人同士は刺激があっていいだろうが、周りは苦労したんじゃないかなあ。
ふと、フェリーニと、ジュリエッタ・マシーニのセビリアの夜を想ってみたり。。。

2015年8月3日月曜日

平成27年度 松竹大歌舞伎

7月31日の夜公演。
スケジュールをみたら、この地方公演の最終日であった。
しかも、夜なので、ほんとに、落なんである。
ちょっと得した気持ち。

演目。
河内山  中村橋之助
藤娘 中村児太郎
芝翫奴 中村国生

橋之助、実に素晴らしい。
あまりにも歌舞伎界の重鎮が次から次へと冥土へ旅立ってしまったので、どうなることかと、案じていたが、なんのことはない。
舞台から、心配ご無用、歌舞伎座にもお越しあれ!といわれた気がした。
花道のきわに座っていたためか、なんどか視線をいただき、妙なる幸せであった♪
よい貫禄である。

児太郎はかなり緊張していたようで、手がぷるぷる震えているときがあった。
まだまだ先は長いので、これからもがんばってほしいものだ。

芝翫奴の国生だが。
いきいきとしている。
花道の出のとき、かわいい!と呟いてしまった。
手順で頭がいっぱいでお客の反応をみるどころではなさそうなのが、初々しい。

肝心の踊りは、これがもう!
花道で足踏みをすると、こちらへ、がしがし響いてくる。
タップだったり、コサックだったり、果ては、
横ギバも見事に決めて、拍手喝采。
このひとの、弁慶が一日も早くみたい。

あの世で、三津五郎さんたち、さぞ、ほっとしたであろう。
またみよう。