2016年12月6日火曜日

■誰のせいでもない■ヴィム・ヴェンダース最新作

まず一言。
よかった。
ひじょーーーによかった!
ヴィム・ヴェンダース監督最新作。
2015年
ドイツ・カナダ・フランス・スウェーデン・ノルウェー合作
まるでロードムービーのような物語。

悲しい出来事が起きるときはこんな風に偶然が折り重なっていくものか。 
先日、パリ、テキサス を観たときと似通った気持ち。
長い余韻。
たぶん、この余韻は一週間は続いて、そのあとは折に触れて蘇っては切なくなって、それから時には、涙がじわっとなるんだろう。
何年先までも。

レイチェル・マクアダムス(サラ)の美しさ。献身。
シャルロット・ゲンズブールって、いい女優さんなんだなあ。
あのゲンズブールとジェーン・バーキンの娘ってそれもたしかにすごいけど。素晴らしく演技派。
主人公はスパイダーマンのジェームズ・フランコ。この役、顔にあまり出さずに、漂う雰囲気で心情を醸し出さなくてはいけないから、大変なのでは。4人の主要人物の中で、最も繊細。
音楽(アレクサンドル・デスプラ)がややメロドラマ風で、この音楽だと、なにか嫌なことが起こっちゃう、どうしよ、と不安になっていると、必ずそうなるという王道をいっている。実に映画らしい音。
近いうちにもう一度観たい。
が、シン・ゴジラもまだ二ゴジラのままだし。
ううん悩ましい、、、、

2016年11月30日水曜日

■ハドソン川の奇跡■やるなあ、クリントイーストウッド!

きのう、鑑賞!
映画久しぶり。
よかった、やっと映画館の椅子に座れた。

~ハドソン川の奇跡~

この映画、2009年に起こった出来事を映画化したもの。

監督:クリント・イーストウッド
2016年公開 アメリカ
原題はサリー。
主演はトム・ハンクス。
最近、この人の作品は観ていなかった。
老けっぷりに、最初ちょっと戸惑った。

たしかあの当時、機長すごいね、すぐ助けたニューヨークの人たち、かっこいいね、みたいな話になっていたかと。
そうそう、警察がいちばん来るのが遅くて、来た時には全員救助終わってたって、かなり笑われてた。
あとで、揉めたなんてびっくり。
ひどいな! 
ふうん、こんな風にして善意を悪行に変えてしまうか。組織は!
お金がいちばん上?
機長の判断を犯罪にしようとするって、つまりはお金に支配されているだけなんだと、気が付かないのか。 
もっとみんなで、よかったね、よかったね、と、喜びを分かち合うことはできないのか?
あ、こういう感想はまんまとイーストウッドの策略に嵌ってるな(^▽^;)
クリント・イーストウッドはこの撮影のため、飛行機を購入したそうだ。
すごいねえ。
ほか、当時事故に関わった人が本人役ででていたりする。
フェリーの船長、判断力が優れていて素敵だなあと見惚れていたら、本人とのこと。
ニューヨークっていいとこ。
ヘリコプターが俊敏に溺れる人を助けたり、船が幾つもでてきて、翼にいる乗客を助けたり。
やさしい。

ハドソン川でくたびれたように横たわる飛行機がなんとも愛らしく、お疲れ様と、ねぎらいたくなった。

■古今亭菊龍独演会■11月27日(日)

しばらくぶりの落語。
聴きたいよね、菊龍師匠。
そういうことで、某所クローズドな会に潜入させていただく。

師匠、朝ごはんも食べすにお風呂に入っていらしたとか。
ううん、もう、心配だからやめてくださいよ~~。

まず一席目は、何十年ぶりかで耳にした「景清」
かつて聴いたのは、やはり職人で金工の細工師だったかなあ。
今回上方から来た噺だと、教えていただく。
泣ける!
滑らかな口調のためか、不思議なくらい情景が自然と浮かび上がる。

二席目。
「井戸の茶碗」
いろんな噺家さんが、いろんな切り口で演っている。
つい最近は、今年のお正月の三喬師匠のだった。
その前はあいらぶ萬橘師匠♪

菊龍師匠の井戸茶碗、いい!
間合い、筋の運び、心地よい笑い。
もっと、い~~~~いおんななんですよ~~~~
の、いいがながーくても、すき♪
というか、そこ聴きにいっているようなところもあり(^▽^;)

かれこれ、3年くらいになるのかな、師匠の噺を聴かせていただけるようになってから。
こんなことを書くのも失礼かもしれないが、ぐいぐいと話芸が逞しく伸びていっているような。
まさに名人!

2016年10月24日月曜日

■パリ、テキサス■せつなく、美しい

西ドイツ、フランス合作。
監督:ヴィム・ベンダース
1984作品

ずっと気になっていた映画。
ようやく観た。

切ない。
哀しい。
きれい。
砂漠をとぼとぼ歩く、車で走る、子供を迎えにいく、元妻と話す、
そのどれもが、美しい。
撮影はロビー・ミューラー。
抑えた色調に絡む、ライ・クーダーの細く長く響く、ややエロティックで涙を誘うようなギター。

赤ー黒ー緑と、登場人物の服の色が変わる。
心を映しているのだろうか。
赤。
探し求めていた元妻の、赤い毛糸のワンピース。
アクリルかな?
あまり高そうな感じがしない、超ミニの服だが、ナスターシャ・キンスキーが纏うと上品な雰囲気さえ感じられてしまう。
チラシでは赤というより、ピンクだったが、画面では真紅だった。
キャップの赤、父と子の赤いシャツとトレーナー、目に焼き付く赤い色彩群。
不思議なくらい、主人公に共感できるところはない。
なのに、悔しくて、泣けてしまう。

もうちょっと、なになにをしたら。
あそこで、ああしていたら。 

いくら考えても答えはでない。
そのスパイラルの中に永遠に閉じ込められてしまうのか。 

ナスターシャ・キンスキー、こんなに綺麗な人を観たのは生まれて初めて。
ハンター・カーソン、子役。そして、こんなに綺麗な子供を観たのは、うまれてはじめて! 

観ることができて、よかった。

 

2016年10月17日月曜日

■シン・ゴジラ■二・ゴジラ成さん最高!!

2回目!
なかなか二・ゴジラにいけず、辛い思い( ;∀;)をしていたが、昨日ついにチャンスが!
というほどでもないのか。
そう、時間はあっても、いろいろあるんだ、いけるときと、いけないときがね。

いやあ、あと10回は観たい。
もちろん、劇場でね。

科白のおおいところは、小津みたいでもあり、聞き取りづらいところは、黒澤みたいでもあり。
あいかわらず、見どころ満載、萬斎もかっこいい(笑)

そう、今回はゴジラ(野村萬斎)の動きをしっかり見届けようと目を凝らした。以前一度だけ萬斎の狂言を観たことがある。それはもっと軽快で自然と笑いがこみ上げる動きだった。
が、足はしっかり地について、軽やかな上半身を支えていた。
その足取りがゴジラの歩きに反映されているのだと、確認。

前回も少し気になったのが、ゴジラのしっぽである。
あの動きはうちの飼い猫のそれとよく似ている。
猫を真似たのだろうか。
まるで、しっぽが別の意志を持つような動き。
で、ちょっとぐぐってみたんだが、このことについて言及しているものは見つけられなかった。
あの、まっすぐ凛と立って、しっぽだけが揺れている姿。
美しい、、、

今回はちゃんと、最初の内閣の会議のテロップ見逃さなかった。
-里見農林水産大臣は豪州云々中のため欠席-
これ、とても大事な伏線だったよね。
わたしの成さん。
だいすきな成さん。
ドラマや映画では欠かせない脇役。
成さん観たいから、また映画館に足を運ぼう。

きのう観たのは池袋HUMAXシネマズ。
来月ゴジラ生誕祭があるとか。
なんと、わたしの成さん、登壇予定。
そうでしょう、映画好きなら成さん招びたいよね。
映画万歳、ゴジラ万歳!ってね♪


 

2016年10月3日月曜日

■ジャニス:リトル・ガール・ブルー■とうとう観た~~

明日10月4日はジャニス・ジョプリンの命日。
だからということではなかったが、昨日東京散歩の道すがら、『ジャニス:リトル・ガール・ブルー』を渋谷のイメージフォーラムにて鑑賞。

2015年アメリカ。
ドキュメンタリー。
監督はエイミー・J・バーグ


まあ、ここで私が語るようなことはないんだ、ほんとは。
ほぼほぼ言い尽くされているし。
今回の公開でようやく、あのバラカンさんも彼女は素晴らしいと、いってくれるようになったことでもあるし。
と書いていたら、書くことがなくなるので、思いつくままに感想を。

いつも彼女の声を聴くと、心が刺さるように痛むのは何故なんだろうと考えてきた。
それがよくわかった。やはりそうなのか。深い傷を負っていたのか。
日本の学校のイジメも厳しいけど、アメリカはまた違う意味でひどいな。というか、大学で表立ってイジメって、サイテー。
殺人に等しい。
高校の同窓会に出席したジャニスの悲し気な顔。。。
遠巻きに見ている同級生たちとの距離。
やっぱあれかな、有名になってしまったから、なの?
同じところにいるのに、違う次元にいるみたいな。
パイオニアと呼ばれる人が払う代償は大きい。

ホテルのスタッフが電報をちゃんとジャニスに渡していたら、助かったかもしれない命。
もし生き続けて、パール以降も作品を発表していたら、と思うと、残念でならない。ドキュメンタリーの始まりと終わりでは歌の表現が変わっていた。
オーティス・レディングやジミー・ヘンドリックスが、ちらちら登場する。
清志郎が、オーティスみたいに歌いたいといってたオーティス。
清志郎の歌い方って完全コピーといってもいいみたい。

初めてウッドストックの映画を観たとき、ギターを壊すジミヘンよりもジャニスに衝撃を受けた。
今回の作品で、あのウッドストックの演奏はなってなかったということを知った。びっくり!

2016年9月27日火曜日

■きっとうまくいく■ボリウッド!!

数年前に一度観て今回二度目。
2009年インド映画
邦題はこの作品のテーマといえる、
“Aal Izz Well”(アール・イーズ・ウェル)
から。
 
監督 ラージクマール・ヒラーニ
主演 アーミル・カーン
捧腹絶倒の笑いの中で、しっかりインド社会の批判もしている。
暗くなりがちなのにまったくそうならない。
で、展開がとても忙しいけど、恋やダンスや歌になると、途端に丁寧になっちゃう。
インド映画の醍醐味~♪


昨日も目いっぱい笑った。
その前、初めて観たときも、どうしようというくらい笑った。
こんなに楽しい映画はなかなかない。
インドの役者さんはよく動く。
体が柔らかい。
これでオリンピックとか出なかったりするんだから、まあ、メダル争いに血道を上げている国々はほっとしているかも。
どれだけ浚っていくことやら。。。知りたいものだ。

主人公のアーミル・カーンはとても明るく演技もうまい。
脇を固める主人公の友人や学長が盛り上げる。

ライバルのサイレンサーもおかしい。

また何年かしたら観たい。
ラストの小学校なんだが。
こういう学校、日本にも欲しい。
そう、まだまだインドの人々は元気だ。
日本人は批判する気持ちも、もがれつつあるもんねえ。


エンドロールに興味深いお名前。
日本語字幕監修 - いとうせいこう
いろんな仕事してるんだなあ。立派だなあ。



2016年9月25日日曜日

■下丸子落語倶楽部■9月23日■

初★下丸子落語倶楽部。
今回春風亭一之輔がゲストとある。
これはいかなければ、もったいない、ということで、いってきた。
まあなんというか、演芸に舞台、寄席と、このところなかなか忙しい(^▽^;)
健康でないと、こういう暮らしはできないわけで。
ありがたいものである。


前座バトルの後、立川志ら乃の新作とおもわれる、「そばーん」
志ら乃が作った噺だろうか?
いま調べてみたらそうらしい。創作らくご、とある。
ううん、顔芸が過剰かなあ、、、ややひく。

林家彦いち、志ら乃のトーク。
随分と長い。二人とも時々時計を確認するが、一向に会話をやめる気配がない。
彦いち師匠の元犬みたいなお弟子さんの話に場内爆笑。
それにしても長い、と、不審になりだしたその時、袖から私服の一之輔が乱入。
カーディガンにつむつむ?みたいな絵柄のかわいいTシャツ。眼鏡。イケてる私服姿♪
「いつまでしゃべってんのよ~」 

仲入り

一之輔♪
「待ってましたー」 が方々からかかる。
芸があると、人気もある。

まくら。
わたしが○○に住んでるのが悪いんです、とか、新丸子と下丸子ってねーとか。東急線はお高くとまってる、とか。
あー。そうかあ。
いっちゃん、間違えて、新丸子いっちゃったんだ!
で、トークで伸ばしていたんだ。
「くしゃみ講釈」、初めて聴いたかも。
上方落語らしい。
笑いすぎてお腹が痛くなってしまった。

斜め前に小さなお子さんがふたりいらしたが、とても楽し気にけらけら笑っていた。
日本の未来は明るいねえ。 


画像頂戴しました<m(__)m>

トリの彦いち「あゆむ」でお開き。

楽しかった!

スペクタクル時代劇『真田十勇士』

中村勘九郎主演
堤幸彦監督
映画とおなじ。

映画公開日にあたる22日鑑賞。
なんと、招待券を友人がもらってきてくれた!!
(*´▽`*) である。
この舞台、とても観たかったが、なにせS席12800円と、高価で手が出なかったのだ。
ううん、とてもラッキー♪
舞台だというのに、映画予告のおまけ付きという、いかにも堤監督らしいサービスとPR。

さて、舞台の感想を。

素晴らしい、楽しい、みんな観よう!、勘九郎の軽妙洒脱な芸を堪能しよう、篠田麻里子の超絶生太ももを拝もう!
と、おすすめしたい(^^♪

廻り舞台がとても凝った造り。
迷路と階段が入り混じったような構造で、どこから誰が出てくるか、予想がつかない。
一体これで、勘九郎(佐助)の神出鬼没ぶりにどれほど振り回されたことやら、、、(^▽^;)
大詰めで、その廻り舞台の一番上、数メートルの幅しかないのに、忍びの棟梁との大立ち回りが。
そこでなんとまあ、六法まで勘九郎は踏む。
さすがに二人とも、命綱は結んであったからまだいいが、ドキドキしてしまった。

一幕目は勘九郎お父さんにそっくりと思って観ていたが。
二幕目になると、誰を観ているのかわからなくなった。
勘三郎なのか、勘九郎なのか。。。
アドリブらしき、もにょもにょっと科白をいったりするのが、よく似ている、そのもの、と言い換えても構わない。

機会があれば、もう一度観たい。
このような舞台があったなんて!!

スペクタクル時代劇『真田十勇士』
東京公演は10月3日まで。
物販で買った六文銭手ぬぐい(^^♪ 500円

2016年9月20日火曜日

「キンニラ+あこシアター7」2016,9,15

この会は何度行っても飽きない。

だが。
今回を持って、いったん終了。
おそらく成城ホールあたりに場所を変えるのだろうが。
北沢タウンホール、本当に改修工事の後、再開するのだろうか。
ちょっと不安。
なんだかキンシオタニのパフォーマンスのとき、やや不安に駆られてしまった。

さて、毎度のテーマ、この日は「夢」
夢で会いましょうがバックに流れる。
たゆとう、ゆったり、
もうひとつ、テーマが二楽師匠から追加。
永六輔さんを偲びたいと。時間がかかると。
で、二楽師匠がトリ。

遠峰あこが最初。
またも、4曲。もっとたくさん聴きたいな。
よかったのは、初めて生で、あの田口トモロヲ作詞の名曲
「かっぱ巻き」
を聴けたこと。
しかも、永六輔のお寺の会のエピソード付き。
なんでも、お寺の会によばれて、かっぱ巻きを演奏していたら、永さん乱入してきて
「君、面白いね!来週ラジオにでなさい!遠峰あこちゃんでしたー!」
と、そこで切られて、最後まで歌えたのは翌週のラジオだったと(^▽^;)
なんだか、らしいエピソード。
ネットで聴いたものより、遥かにパワフルで声もよく伸びていた。
やはり、あこしゃんリサイタルにいかないと、満足できそうにない。

キンシオタニの緩さも変わらず。
あれ、少し太ったかな?
絵をその場でどんどん描いていくが、かなり速い。
このスピードで一定のレベルを保つというのは、もちろん技巧、技術なのだが、たいした芸である。
で、ここがまた、彼らしいのだが。
その、速度をあまり人に感じさせない。
なのにどんどん、絵ができてしまう。
この人の描く天使は、もしかしたら、ベルリン天使の歌かな?
ちがう、かな?

トリの二楽師匠が永六輔メドレーで切絵を紡いで、ほわんと解放された感じになる。
いいひと時。
どうか再来年あたりには、北沢タウンホール、復活していますように<m(__)m>

2016年9月14日水曜日

■聲の形■全然期待していなかったのに、よかった~

試写会が当たってしまった!
そりゃあもう、いかなくては!
と、大した知識もなく、観にいってみた。

2015年版『このマンガがすごい!』オトコ編で第1位を取っている。
だが、連載になるまで、テーマが微妙ということで、紆余曲折があったらしい。

なるほど、たしかに。
小学生の社会構造、子供のずるさ、要領のいい立ち回り。
瞬時に大人の考えを見抜き、仲間を平然と裏切ってしまう。
これだよねえ、子供のころ、こういうのがどうしてもなじめなくて。
なんか浮いてたなあ。中学に入っても。
居場所がない子供時代って辛い。

アニメーションが、とても綺麗だ。
池の水、鯉、雨、、、水と水にまつわるものが、どれも美しい。
いま気が付いたけど、水が重要な鍵だったのか。

公式サイトに字幕上映決定とある。
たしかに。
手話のシーンに字幕があれば、作品をもっと深く味わえる。

ヒロインがとてもかわいらしい。
つい、かまいたくなるような、意地悪したくなるような。
美少女である。
そういえば、小さい頃、よく遊んでいた男の子のお母さん、こういう風だった。
きれいで、やさしくて、不自由なのに、ちゃんと名前を呼んでくれたひと。

終盤ぼろぼろに泣いた!
しばらく鼻声が続いてしまい、かなり困った。
やられたわ。。。。

2016年9月4日日曜日

■古今亭菊龍稽古会■9月2日(金)

先月の予告通り、菊龍師匠の稽古会へ。 

今回は正しく迷わず、会場に辿り着けた。
まずは、よかった。

師匠、若葉色の絽のお召し物。
この日は三席。

まず、おそらく聴いたことのない、
鏡ヶ池操松影(かがみがいけ みさおのまつかげ)
圓朝作。

怨恨、祟りの話。
なんだかねえ、こういうお話って怖い。
呪いで人が死ぬか、それも複数でって、考えれば、あり得ない筈だけど、、、
いやあ、人間の思念は深いから、そういうことも、ないわけじゃない、かも、しれない。 
と、気持ちが揺れ動いてしまうのは、すでに圓朝の術中に絡めとられているのかな。
随所に古今亭流と思われるリアルさがちりばめられていて、それが細密に恐ろしさを積み重ねる。
ふと感じた。
いまの作家に例えたら、楳図 かずおって近いかもしれない。
あのいつまでも続いていく恐怖。

終わって、「ぞろぞろ」
気楽で楽しい噺。ほっとする。
そうか、こういうのって、ファンタジーともいう。
そうしてみれば、落語って、ファンタジーが定型のひとつにある。
このオチ、好き。
ちょっと瘤取り爺さんみたいになったら嫌だなあと心配していたら、そうではなかった。
ふたりがお参りにいくのが、お岩神社。
稽古会終了後の雑談で教えていただいたのだが、そもそもあの神社は貞女の鑑だったお岩さんにあやかれるよう、人々が願いを込めて建立されたとか。
え、全然違うじゃないの。
鶴屋南北ががらりと変えてしまい、それが後世まで伝わってしまったなんて。
ひどいな。
南北先生、ちゃんと訂正文書いてくださ~い。 
庶民の切ない祈りを恨みにすり替えてはいけませぬ。

最後は「秋刀魚火事」 で手堅くしめて、この日は終了。
それにしても、休憩なしで三席ずっと正座って、菊龍師匠、大丈夫なのだろうか。修行されているとはいえ、たいへんなことである。

来月は井戸茶碗らしい。

2016年8月18日木曜日

■柳家小満んを扇辰・喬太郎がふたり占め■8月17日


イイノホール。
迷わずたどり着けるか、やや不安だったが、あっさりいけた。 
広々として、隅々に工夫がある、立派なホール。
なんと、売店も!コーヒーをお願いする。
隅々に工夫がある。

評価の高いお三方が集まる、落語ファンとしたら外せない会。
なにせ、イイノホールも、この名高いお三方も、初なのである。
少し緊張した。
いつもの両国寄席とはお客さんの雰囲気も違う。
両国はサンダル履きでいっても誰も嫌な顔をしない場所。
イイノホールはお洒落なひとが、そこここに。
絽でも来てくればよかったか。


まずは、お二人のご挨拶。

どれだけ、小満ん師匠が好きなのか教えてもらう(^^)

喬太郎師匠の噺。
おっと、古典!
驚いた。
無知とは恐ろしい。恥ずかしながら、ネットでウルトラマンの落語ばかり観ていたので、てっきりそれだと思い込んでしまっていた。
実に面白い「にゅう」。
やはり、リアルタイムと、録画では、イメージが全然違っている。
もちろん、生で聴くべき。
姿がいい♪
ふっくらとして、顔だちなどは違うのだが、ちょっと志ん朝の風を感じたような。

そして、小満ん師匠の一席目。
喬太郎師匠リクエストから、「派手彦」
始まりが、あとでどう繋がるのか、興味津々だったが、ああなるほど、と納得。
掛け言葉や伏線が随所にちりばめられた、楽しくて、洒脱な物語。
派手彦というタイトルにもすっきりとした、江戸の粋が現れている。

仲入りのあと、扇辰師匠。
「麻のれん」 
いろいろな表情で人物をきっちり描き分けている。
とくにお酒の飲み方、枝豆の食べ方、可笑しい!
まさに、話芸。
だが、この噺は今日の日本のテレビでは決して放映されない。
残念なことである。
この日は足をくじいて、正座ができないということで、釈台を前に置いて噺をされた。どうか、お大事に、、、

つぎは、扇辰師匠リクエストから、「江戸の夢」
お茶の噺。
しっとりとして、笑いよりは、ぐっと感情に訴える人情噺である。
師匠、時折、ゆるっとお茶を口に含むのだが、その仕草がまた、粋。
玉露を時間をかけて淹れるところ、甘い茶の香が漂ってくるようで、飲みたい。
昨日の夜から、今夜まで、玉露飲みたい、小満ん師匠の手さばきで飲ませていただきたいと、熱望している。
恋にも近いこの気持ち。玉露飲みたし。

ラストは座談会。
小満ん師匠、ふたつの噺を選んだ理由がよかった。
どれも、いちばん最初に書いてあった、季節もちょうどよかった、だそうだ。
お開き。
幕が閉まるとき、最初に椅子から降りて、きっちり正座をされて、三つ指をつかれた小満ん師匠。
お二人の慌てぶり。
お三方みな、三つ指で。
ほかの会も、見習ったほうがいいかも!
いや、日本人みな、見習うべき!
 

2016年8月15日月曜日

■両国寄席8月14日(日)■訂正あり

お盆真っ盛り!
昨日トリは三遊亭萬橘なり(^^♪
東京人、お盆はいくとこない!
両国寄席は満席だ。
どっかんどっかん、笑いもおっきい。
こういう雰囲気いい。
おもいっきり、寄席って感じする。

前座の三遊亭はち好、満席で緊張したようだ。

楽大、林屋正雀、入船亭扇治、三遊亭愛楽、代演の小圓朝で、休憩。
中入りののち、楽生、 春風亭美由紀の三味線、トリの萬橘。
萬橘は、青菜である。
待ってました!の声が方々から。
マクラから大爆笑。
いままでだって、大うけだったのに、さらに笑い声が多くなっている。
なんだって、こんなにこのひとは面白いのだろう。
6月の厩火事で人情噺を想像していたが、すっかり裏切られた。
オチ寸前、本日一番の笑いを取ってこの日は終わり。

画像はひろいもの↑
きょうの両国寄席にも萬橘でる。
トリは昨日の食いつき楽生。
代演で出演していた小圓朝も!
この三日間、実においしい出演陣。


*入船亭扇治師匠の西行がよかった。
できたら、このあとの西行の物語もしりたい。
いつどんなふうにして、文覚上人たちと出会ったのだろうか、といったことなど、、、*

小圓朝師匠、代演だったからなのか、かなりの酩酊ぶり。
またそこがよかったかも。
楽生のときに太鼓を叩いてみたり、休憩時、「お手洗いはこちらでーす」と、客席にでてきてみたり。
おちゃめさんなのであった。
あ、演目はあくび指南。
残り5分になって、急に噺がはじまった。
それなのに、しっかりまとめて笑いも取る。一度、小圓朝のトリのときを狙ってみてもいいかも。

*****
訂正 
林家正雀師匠贔屓の方より、ご指摘をいただきました。
入船亭扇治師匠はこの日、たがや でした。
西行のおはなし(鼓が滝)は 林家正雀師匠でしたと。
お隣同士だったので、お間違いになられたのでしょう、と、たいそうお優しく、お教えくださいました。
ありがとうございます。
この場を借りまして、お詫びと訂正とさせていただきます。

また、その際演目リストを送っていただいたので、
そちらも紹介させていただきます。

子ほめ はち好
狸札 楽大
鼓が滝 正雀
たがや 扇治
宗論 愛楽
あくび指南 小圓朝

仲入り

鳥根間 楽生
     美由紀
青菜 萬橘

 


2016年8月9日火曜日

■古今亭菊龍稽古会■8月5日(金)

久しぶり~。
ちょうど半年ぶりの、菊龍師匠の稽古会!
いやあ、久しぶりすぎて、何回もお邪魔しているのに、道を間違えてしまった(-_-;)
駅に戻って、最初からやり直そうとしていたら、なんという巡り合わせか、向こうから来る千菊さんに遭遇。
連れていってもらう♪
道々話すは、シン・ゴジラの桁外れなすごさ。

会場に着くが、なかなか師匠が現れない。
セッティングが済んでも、いらっしゃらない。

なんと、急遽変更で、同じ建物の2階になっていたのだった。

いそぎ、もろもろをしまい、上へ。
よかった、贔屓のみなさんお揃いだった。

噺は二本。
妾馬(八五郎出世♪)
天災
どちらも、目の綺麗な八五郎の噺。
師匠、以前のリクエスト を覚えていてくださったのか、演じてくださった。
うれしい。
ついてるなあ!!
妾馬→発音は めかんま 。

師匠の八五郎、何もわかってない(笑)、いい奴、お調子者。
 
この噺がなぜ好きなのか、分析してみた。
前半、ひたすら、おもしろい。笑いが止まらない。
八五郎とご隠居、八五郎と武家屋敷の面々、なんにも嚙み合ってない。
嚙み合わなさが可笑しい。
赤井御門守の御前で、八五郎が酔っ払い、周囲に目をやるゆとりができたところで、急激に雰囲気が一変する。
妹がいたことに気が付き、会えない辛さ、妹に赤ん坊が生まれた嬉しさを素朴な口調で語るところで、笑いが涙になる。
この、潔く、変化するところが、好きなのである。

と、分析した。
べつに、好きなら好きでいいじゃん、なんだけどね。

このあと、八五郎はどんなふうに出世するのだろう。
師匠続きを探してくださっているようだが、まだ見つからないのだとか。
いつぞやの宮戸川全編のように、いつか語っていただきたいものである。
あの宮戸川は素晴らしかった。

来月は2日?
としたら、カフェ、2日はいちおう休みにしてあるから、いける、かも?!!
わくわく(^^)/
 

2016年8月4日木曜日

■シン・ゴジラ■吞川の道は、ゴジラの道と呼ぼう!

総監督: 庵野秀明
監督・特技監督:樋口真嗣
主演:ゴジラ(グァジィラ)

2016年 東宝

やっぱり、ゴジラは東宝!!
東宝ゴジラ、ここにあり!!



前作ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』 は面白かった。
あれから、それほど観ていなかったゴジラが好きになり、DVDを借りたりしていたのだが。

今回のシン・ゴジラは、それを遥かに凌ぐ。

ちょっと気持ちが塞いでくるので庵野秀明のエヴァンゲリオンは苦手。それで、じゃっかん迷っていたのだが。
ネットでの評価がすこぶる高い。
昨日は水曜日。映画が1100円の日。
これ以上、引き延ばすのは無理なくらい期待感が募ってしまい、キネカ大森の最終7時の回へ。
最終回というのに、けっこうお客さん入ってる。

昂る心。

まずうれしいのは、長谷川博己が人間の主演♪
まるで、タワーリングインフェルノみたいに、綺羅星が続々と登場する。


ちょっとさかのぼるが。
昨日の日中は友人との待ち合わせ場所、池上駅を目指し、歩いていた。
だいたい徒歩で20分くらい。
ところが、いくら歩いても、池上の風景にならない。
あれ、変だなあと表示を見ると、西蒲田!
そう吞川のうねうねのところで、左右を間違えてしまったらしい。
残念ながら、川沿いをてくてくてくてく、のため、タクシーは走っていない。
まだ、西蒲田、まだ西蒲田、ああ、ますみちゃん(友人の名前)、ごめん!と内心叫びながら、もどるもどる。
吞川沿いの景色は裏腹に美しい。
漸く、本門寺の森が視界にはいってほっとする。
なんとか、池上駅に辿り着き、 一緒にお昼ご飯も食べられた♪

などということがあり。

映画に戻る。
なんと、さっき、一生懸命歩いていたところが、画面いっぱいに映し出されているではないか!
これはとても重要なシーン。
そう、きっと、今夜の映画のために、さっきあそこを通ったんだ、と、思わずにはいられなかった。
詳しくは、書かない、書かない。

大田区、品川区に縁のある人には、ぜひご覧になっていただきたい。
できれば、キネカ大森、品川プリンス、など、近場で。

次回観る際は、大きなところで、音など聴き比べてみたい。
伊福部さんのゴジラ、最高。
これ以上のゴジラの音楽はない。



ストーリーの流れも自然。
科白や、ちょっとした挿入シーンで、ああそうなったんだ、と、わからせてくれる。
テンポがいい。
そして、壮大なファンタジーであるにもかかわらず、切実さがある。
入念な取材、下調べが、どれだけあったのだろうか。
とにかくいい。

お気に入りの俳優さん、平泉成が相変わらず、飄々としていてうれしい。

塚本さんがすごく楽しそうに学者役ででている。


片桐はいりさんも。
エキストラで参加したかったなあ。



2016年7月25日月曜日

■ヘイトフルエイト■ヘイトフル8■血赤珊瑚鶏頭紅赤い~~

キネカ大森にて。
2本立て。
ヘイトフル・エイトのみ鑑賞。

多くを語らなくてもいいかもしれない、
クエンティン・タランティーノ監督作品。
8作目。
いつものことだけど、極端!!
まるで、スプラッタームービーを観てているかのような錯覚に陥る。
錯覚ではないのかも。。。。。 
2015年 アメリカ
主演 サミュエル・L・ジャクソン
音楽 エンニオ・モリコーネ
王道だ。
実に堂々として、西部劇らしい活気と躍動感。


やはり括りとしては西部劇になるか。
途中から、すっかり密室劇になる。
ちょっと眠くなった(;^_^A

いやいやいやいや、「そして誰もいなくなった」、血まみれ版とでもいったらいいのか。

そして、女性に対しての横暴な仕打ち。
ジェニファー・ジェイソン・リー、最初は目の周りの痣だけなのに、後半は郷土玩具の真っ赤な金太郎。
前歯もなくなり。 



こんな感じ↑

残念なことに、彼女の本来の傷のない顔はとうとう最後まで観ることがなかった。
いくら、毒婦とはいえ。

綺麗な女優さんなのに、ひどい、タランティーノ監督。
いや、全世界的な視点に立つと、これが女のポジションだといえなくもない。
まあ、そういうところも、タランティーノは狙っているんだろう。
この時代から、女性の地位向上って、すこしは進展しているのだろうか?
周りをみていると、たしかに男性の就く仕事に女性が進出しているが、だからといって、それがそういうことなのか、わからない。
男性の女性への気持ちが変化しないと、本当の向上にはならないよねえ。

それにしても、気持ち悪い。
塚本さんの「野火」も、かなり、うっく、となるが、負けてない。 

「キングスマン」で悪役のボスだったサミュエル・L・ジャクソン、この度も、悪いことこの上ない。
ほんと、頭吹っ飛ばすのが好きらしい。
そういう役柄を選んで出ているに違いない、なんて(^▽^;)