2017年5月31日水曜日

■聖の青春■

2016年の作品。
監督:森義隆
松山ケンイチと東出昌大の対決が非常に面白かった。
村山聖という、伝説の棋士の物語。
大崎 善生作のノンフィクションを基にしたフィクション。
「3月のライオン」という、いま公開している映画で、主人公のライバルで親友でもある二階堂晴信というキャラクターがいるのだが、それもこのひとをモデルにしている。 
3月〜を観る前にぜひ、観ておきたかった。ということで、昨日は平日の真昼間というのに、お客さん多かった。
なんだか最近映画館がいつでも混んでるような気がする。
手堅い人たちが脇を固めている。
竹下景子、筒井道隆、というベテラン俳優が表に出すぎず、しっとりと情愛を醸し出す。
とくに病を宣告されるシーンの竹下景子が印象的だった。
お医者さんの非難になすすべもないお母さん。
お医者さんは、なんであんな言い方するんだろう。 ひどい、と、そこで聖の家族に対しての共感が生まれる。
映画ではこの共感というのが、大事で。
まあ、そういう類ではない映画ももちろんたくさんあるし、大好きではあるが、ちょっと置いといて。
共感ができると、その映画にのめり込める。
終わりまでずっと主人公の喜びや苦しみを共に味わいながら観ていける。観終わったあとの、満ち足りたような、つくり手の人々への感謝の気持ち。
そういうものを、聖の青春で味あわせていただいた。
興行的にどうだったのかは知らないが、観てよかった。
東出昌大は「あなたのことはそれほど」の怪演ぶりが話題だが、この作品中の羽生善治役はたいしたもの。
「桐島部活やめるってよ」以来ずっと売れている。すごい人。
松山ケンイチとふたりで、お酒を飲むシーンが素晴らしい。ネタバレになってしまうので、書けないけど、ほんとはとても書いてしまいたい。最も好きなシーン。
さて来週は3月のライオンと、シネマヴェーラの石井輝男監督特集にいきたいものだなあ。

2017年5月8日月曜日

■ラ・ラ・ランド■うわあ、やっぱり、セッションの監督。ひねくれもの。

セッションのデイミアン・チャゼル監督
2016 アメリカ

今年のアカデミー賞でもっとも多くノミネートされていた作品。
そろそろ公開が終わりそうなので、慌てていってきた。

予告編の映像が綺麗だったので、かなり期待していたのだが、思った以上の美しさ。
なんというか、色が氾濫しているが、背景が夜だったり、薄明かりだったりするので、そう激しくない。

ぎらぎらとしていたのは、ファーストシーンの渋滞の道路での華やかなダンスシーン。眩しく、躍動感に満ちていて、のっけからやられた感が。
その後は、歌舞伎の正絹生地の極彩色が、化繊や薄いオーガンジーの生地や暗めの照明で表現されているといえばいいのかな。 

たとえば。
初めて2人がきちんと会話をする場面。
エマ・ストーンは鮮やかな黄色のミニのふわふわしたドレスに、肩から大ぶりの真っ赤なトートバッグをさげている。(この赤いバッグは前半で何回か登場する)
で、靴。
パンプスなんだが、暗いので色がよくわからない。
まさか青や緑じゃないよねと疑っていると、おお、青だ!
助六みたい!
ありえない配色なんだが、違和感がまったくなく、画面に溶け込んでいる。
このブルーパンプスをタップシューズに履き替え、すでにレジェンドと化している2人の恋が始まるダンスシーンとなる。 
「理由なき反抗」がそちこちに見え隠れする。
この監督は映画が好きなんだなあ。
「エデンの東」ではなく、理由なき反抗、というところに、こだわりを感じる。
ラスト近くのショートストーリーは、幕末太陽傳の幻のラストをなぜだか思い出してしまった。
ライアン・ゴスリング。
一本だけDVDで鑑賞。
「ラースと、その彼女」
これが暖かな物語で。いまもときおり、思い出す。
まあ、古い人形を扱っているということもあり、人形が出ている映画は贔屓目になるというのもあるが。
なにか、これを観たとき、ちょっといっちゃってて、切ないオーラが漂う役者さんだなという印象が残ったんだが。
その雰囲気は変わらずある。
むしろ、切なさは加速したかも。
監督のMと、ライアン・ゴスリングのSが見事なタックルだ。

ネタバレになるから、書かないけど、このラストはミュージカル映画の王道じゃない。
相当なひねくれもんだね、監督。
しゃくだけど、次回作が楽しみ♪
監督の分身みたいなこの方も登場↑